フェンス

自転車が取れなくなった。駐輪場に停めていた友達の自転車がドミノ倒しに倒れた衝撃で、友達のペダルが知らない他人のスポークに挟まり動かなくなった。ペダルは虫の息だった。通りかかったパトカーに手を振り助けを呼んだ。営業時間外の駐輪場には立場上入れないと警官から線を引かれた。フェンスを飛び越えて入った俺たち2人は咎められた。警官は3人いた。その内の1人の口癖は「たちまち」だった。警官がその言葉を使っているのに特に意味は無かった。だから好感が湧いた。あーだこーだと言って車体番号を調べ、結局チャリを残したまま引き上げることになった。チャリはどうにもならなかったし、それで飲むしかないという流れになり俺は乗った。自分に悪いことがあったわけでもないのに、バイト終わりの賄いでパンパンになった腹に勢いよく黒ラベルを流し込んだ。酒について特筆すると、五代梅酒【鹿児島】とスパークリングワインが美味しかった。五代梅酒は焼酎ベースの梅酒らしい。フェンスを飛び越えた甲斐はあった。f:id:yuma_a:20210714034919j:image